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二つ以上の種類の敬語にわたる問題

(1) 「お」と「御」
「お」あるいは「御」を付けて敬語にする場合の「お」と「御」の使い分けは,「お+和語」「御+漢語」が原則である。
【「お+和語」の例】
「お名前」「お忙しい」(尊敬語)
「お手紙」(立てるべき人からの手紙の場合は「尊敬語」,立てるべき人への手紙の場合は「謙譲語Ⅰ」)「お酒」(美化語)
【「御+漢語」の例】
「御住所」「御立派」(尊敬語)
「御説明」(立てるべき人からの説明の場合は「尊敬語」,立てるべき人への説明の場合は「謙譲語Ⅰ」)「御祝儀」(美化語)
ただし,美化語の場合は,「お料理」「お化粧」など,漢語の前でも「お」が好まれる。また,美化語の場合以外にも,「お加減」「お元気」(いずれも尊敬語で,「お+漢語」の例)など,変則的な場合もあるので,注意を要する。
なお,以上は名詞・形容詞などの例を挙げたが,動詞の尊敬語の形「お(ご)……になる」「お(ご)……なさる」「お(ご)……くださる」,謙譲語Ⅰの形「お(ご)……する」「お(ご)……申し上げる」,「謙譲語Ⅰ」兼「謙譲語Ⅱ」の形「お(ご)……いたす」などを作る場合についても,「お」「御」の使い分けは,「お+和語」「御+漢語」が原則である。また,いずれの場合についても,語によっては「お」「御」のなじまないものもあるので,注意を要する。

(2) 「二重敬語」とその適否
一つの語について,同じ種類の敬語を二重に使ったものを「二重敬語」という。例えば,「お読みになられる」は,「読む」を「お読みになる」と尊敬語にした上で,更に尊敬語の「……れる」を加えたもので,二重敬語である。
「二重敬語」は,一般に適切ではないとされている。ただし,語によっては,習慣として定着しているものもある。
【習慣として定着している二重敬語の例】
・(尊敬語) お召し上がりになる,お見えになる
・(謙譲語Ⅰ)お伺いする,お伺いいたす,お伺い申し上げる

(3) 「敬語連結」とその適否
二つ(以上)の語をそれぞれ敬語にして,接続助詞「て」でつなげたものは,上で言う「二重敬語」ではない。このようなものを,ここでは「敬語連結」と呼ぶことにする。例えば,「お読みになっていらっしゃる」は,「読んでいる」の「読む」を「お読みになる」に,「いる」を「いらっしゃる」にしてつなげたものである。つまり,「読む」「いる」という二つの語をそれぞれ別々に敬語(この場合は尊敬語)にしてつなげたものなので,「二重敬語」には当たらず,「敬語連結」に当たる。
「敬語連結」は,多少の冗長感が生じる場合もあるが,個々の敬語の使い方が適切であり,かつ敬語同士の結び付きに意味的な不合理がない限りは,基本的に許容されるものである。
【許容される敬語連結の例】
・お読みになっていらっしゃる
(上述。「読んでいる」の「読む」「いる」をそれぞれ別々に尊敬語にしたもの。)
・お読みになってくださる
(「読んでくれる」の「読む」「くれる」をそれぞれ別々に尊敬語にしたもの。)
・お読みになっていただく
(「読んでもらう」の「読む」を尊敬語に,「もらう」を謙譲語Ⅰにしたもの。尊敬語と謙譲語Ⅰの連結であるが,立てる対象が一致しているので,意味的に不合理はなく,許容される。)
・御案内してさしあげる
(「案内してあげる」の「案内する」「あげる」をそれぞれ別々に謙譲語Ⅰにしたもの。)

【不適切な敬語連結の例】
・伺ってくださる・伺っていただく
(例えば「先生は私の家に伺ってくださった。」「先生に私の家に伺っていただいた。」は,「先生が私の家を訪ねる」ことを謙譲語Ⅰ「伺う」で述べているため,「私」を立てることになる点が不適切であり,結果として「伺ってくださる」あるいは「伺っていただく」全体も不適切である。「隣の窓口で伺ってください。」のような「伺ってください」も,同様に,「隣の窓口」を立てることになるため,不適切である。)
(注) ただし,これらは,次のような限られた場合には,問題のない使い方となる。
①「田中さんが先生のところに伺ってくださいました。」,「田中さんに先生のところに伺っていただきました。」
②「鈴木さん,すみませんが,先生のところに伺ってくださいませんか。」

①②では,「伺う」が<向かう先>の「先生」を立て,「くださる」あるいは「いただく」が「田中さん」や「鈴木さん」を立てている。また,「先生」に比べれば,「田中さん」や「鈴木さん」は,この文脈では「立てなくても失礼に当たらない人物」ととらえられている(例えば,①②の文を述べている人と「田中さん」や「鈴木さん」が,共に「先生」の指導を受けた間柄であるなど),というよ
うな場合である。

このように,その行為の<向かう先>が「立てるべき人物」であって,かつ行為者が<向かう先>に比べれば「立てなくても失礼に当たらない人物」である,という条件を満たす場合に限っては,「伺ってくださる」「伺っていただく」などの形を使うことができる。
・御案内してくださる・御案内していただく
(例えば「先生は私を御案内してくださった。」「私は先生に御案内していただいた。」は,「先生が私を案内する」ことを謙譲語Ⅰ「御案内する」で述べているため,「私」を立てることになる点が不適切であり,結果として「御案内してくださる」あるいは「御案内していただく」全体も不適切である。
「して」を削除して「御案内くださる」「御案内いただく」とすれば,「お(ご)……くださる」「お(ご)……いただく」という適切な敬語のパターンを満たすため[本節の1の(1)①,及び2の(1)①を参照。],適切な敬語となる。「……ください」の場合についても同様である。)
(注) ただし,この場合についても,例えば,次のような限られた場合には,問題のない使い方となる。
事情は,先の「伺ってくださる・伺っていただく」の場合と同様である。
①「田中さんが先生を御案内してくださいました。」,「田中さんに先生を御案内していただきました。」
②「鈴木さん,すみませんが,先生を御案内してくださいませんか。」

このページは、文化庁文化審議会の答申「敬語の指針(PDF)」を基に作成しています。

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手紙・挨拶文の文例その①
・贈答の手紙 ・お祝いの手紙 ・お礼状 ・お見舞い状とその返事 ・案内、招待、勧誘の手紙 ・通知、挨拶の手紙 ・年賀状、寒中見舞い、残暑見舞い、クリスマスカードなど

手紙・挨拶文の文例その②
・依頼文 ・依頼、勧誘を断る返事 ・催促、苦情、抗議等の通知 ・詫び状 ・照会、お問い合わせなど

手紙・挨拶文の文例その③
・結婚に関する手紙、縁談の申込、断り方 ・葬儀に関する手紙、喪中欠礼など


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