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敬語使用における地域差の問題
【35】東京の大学に通う地方出身の大学生だが,先日,クラスのコンパのことで,担任の先生に「先生も行かれますか。」と尋ねたのだが,敬語の使い方として,これで良かったのだろうか。
【解説1】ここでは,「行かれますか。」よりも「いらっしゃいますか。」の方がふさわしかったと思われる。「行かれますか。」も尊敬の表現として決して間違いではないが,東京圏における尊敬語としては「行かれる」よりも「いらっしゃる」の方が,敬語の程度が高く,より一般的だと言える。
【解説2】同じ敬語であっても,その使用状況や意識については,様々な地域的な違いがある。「行かれる」で先生に対する十分な配慮が表せる地域もあれば,そうでない地域もある。地域の言葉には,それぞれに敬語の仕組みが備わっており,それを理解し尊重することが大切である。 平成9年1月に実施した文化庁の「国語に関する世論調査」によれば,「あしたの会議で意見を言うか」という下線部分を上位者に尋ねる場合,どのような敬語表現が最も多く使われているかは地域ブロックによってかなり異なることが分かっている。 例えば,関東では「おっしゃいますか(41.2
%)/言われますか(34.1 %)」であるのに対して,近畿では「おっしゃいますか(40.4 %)/言われますか(48.1
%)」と逆の結果が出ている。なお,関東ブロックのうち東京都区部に限ってみると,「おっしゃいますか(47.1 %)/言われますか(34.3
%)」と「おっしゃいますか」を選択する割合は更に高い。また,「言われますか」については,近畿ブロックだけでなく,西日本全域で最も高く選択されていることも明らかになっている。
【36】関西に行くと,「どこから来たのか」という意味で,「どちらから来はったんですか。」と聞かれることがある。この「来はった」にはどんな意味が込められているのだろうか。
【解説1】各地の方言には,全国共通語の敬語にはない,特有の敬語(方言敬語)がある。 この「はる」を付けることによって,話し手は相手とのほどよい距離感を作ることができる。すなわち当地の人にとっては,「どちらからいらっしゃったんですか。」という表現ほど改まりもせず,かといって「どこから来たん(=どこから来たの)。」ほどくだけ過ぎてもいない,適度な親近感を持ちながら,相手を立てる表現と見なされているのである。なお,「~はる」は,尊敬語の性質を持ちつつも,「お父さんはいてはりません。」のように身内に対しても使われることがある。
【解説2】各地の方言敬語は,語形の上で多様であると同時に,敬語として表現する意味や働きの上で,全国共通語の敬語とは異なる場合があることに留意する必要がある。 【解説1】で「適度な親近感を持ちながら,相手を立てる表現」「尊敬語の性質を持ちつつも,…(略)…身内に対しても使われることがある。」などと解説したのは,この一例である。例えば,自分側の人物に当たる身内の動作を尊敬語で表現することは,全国共通語の敬語では避けるべきこととされるが,各地の方言敬語では「身内敬語」として,改まった場面ばかりでなく,日常的なふだんの場面でも一般的に見聞きされる。そうした方言敬語によって表現される,人間関係や場面への気持ちの在り方が,それぞれの地域社会においては自然でもあり,大切なものとされてもいることに留意したい。 また,現代社会においては,方言を用いた言語表現と全国共通語を用いた言語表現とが,一つの地域社会や実際の言語場面で並存して用いられたり使い分けられたりするのが一般的である。こうした場合,全国共通語による言語表現そのものが,方言を用いた言語表現との対比の上で,相対的に「丁寧な言葉遣い」「改まった言葉遣い」と意識されることがある。例えば,儀式や仕事など公的で改まった場面では全国共通語を用い,私的でくつろいだ場面では方言を用いるという使い分けは,一般的なことである。 留意したいのは,方言敬語が,それぞれの敬語の意味や働きを発揮して,例えば,全国共通語では表現しにくい人間関係や場面への気持ちを表現するような,方言敬語ならではの掛け替えのない働きをしていることである。その働きによって,方言敬語が公的で改まった場面でも用いられることも,また自然なことである。必要なのは,全国共通語の敬語と方言敬語とを的確に使い分ける姿勢である。 各地の方言敬語は,全国共通語の敬語とともに,それぞれの地域社会の多様な言語生活にとって欠くことのできないものである。そのような方言敬語を,上に述べた事柄に留意しながら,将来にわたって大切にしていくことが望まれる。
このページは、文化庁文化審議会の答申「敬語の指針(PDF)」を基に作成しています。
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手紙・挨拶文の文例その② ・依頼文 ・依頼、勧誘を断る返事 ・催促、苦情、抗議等の通知 ・詫び状 ・照会、お問い合わせなど
手紙・挨拶文の文例その③
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